頚椎症・頸椎ヘルニアに首の牽引は
悪化の危険がある
頚椎症・頚椎ヘルニアと診断されて、手術はするほどでもないからと首の牽引を受け続けていませんか?
首が痛く、頚椎症・頚椎ヘルニアと診断されて牽引療法を受けてられる方は多いはずです。
整形外科や整骨院に行くと、「とりあえず」みたいな感じで、牽引治療を進められることも非常に多いですし、病院で医師にそう言われれば「そしたら」という気持ちにもなりやすいですしね。
実際にそれで症状が軽減しているならいいんですが、もしそうでないのなら注意が必要です。というのも、首の牽引治療ってむやみに受けると余計に症状が悪化するときがあるんです。
今回は首の牽引療法によって症状が悪化してしまう理由についてお伝えしていきます。
もしあなたが今、首が痛くて牽引を受けているという時には参考にしてみてください。
牽引療法では骨と骨の間隔は広がらない
いきなり衝撃的なカミングアウトかもしれませんが、牽引治療をしたからといって、狭くなった首の骨と骨の隙間が広くなることはありません。
たぶん牽引療法をされている何割のかの人は、この骨と骨の隙間が戻る事を期待されて受けられていると思います。
なんせ病院では、レントゲンやMRIをとって頚椎の骨と骨の間隔が狭くなって痛みが出ていると言われることが多いから、牽引療法を受けることでその狭くなった隙間が戻るだろうと解釈してしまいますよね。
ですが残念なことに、身体は狭くなったモノを引っ張れば元通りになるといった単純なものではありません。
もう少し詳しく言うと、手術などでも一度狭くなってしまった骨と骨の隙間というのは元に戻ることは今のところありません。
これは骨と骨の隙間の部分にある椎間板というクッションの性質が大きく関わってくるからなんですが、その椎間板について詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください「腰椎椎間板ヘルニアの再発・予防について知っておきたい事」。
腰椎なので腰の事についてですが、首も腰も椎間板自体の性質はおなじですので。
関節に負担がかかって骨の変形の原因になる
背骨というのはすべてがつながった一つの骨ではなく、椎骨というブロック状の骨がいくつも積み重なって出来ています。
そしてその一つひとつの椎骨どうしは、『椎間関節』と呼ばれる関節をつくり連結されて繋がっています。
牽引治療で強い力で首を引っ張ってしまうと、その関節に不自然な負担がかかるので、関節の変形を引き起こすことがあるんです。
自律神経が刺激され、吐き気やめまいを起こす可能性がある
首と頭の付け根のところには、延髄と呼ばれる自律神経のコントロールセンターみたいな役割をしているところがあります。
この部分を牽引治療でなんにも考えずにグイグイ引っ張って刺激してしまうと、自律神経を乱してしまうことがあります。
そして自律神経が乱れることで、吐き気やめまいといった症状を引き起こしてしまいます。
狙った部分だけ牽引をすることができない
牽引療法では、頚椎症や頸椎ヘルニアの原因となっている部分だけを狙って治療することができません。
本当に問題のある椎間だけに、テンションをかけることができず、首全体に牽引の圧がかかるために、全く問題のない靭帯や神経にも負担をかけることになります。
そしてその負担が症状を悪化させてしまうこともあるんです。
頸椎のカーブが減っている方に牽引をおこなうと悪化の可能性
人間の首って、正常な状態では前弯と言われる正面に向かって緩やかにカーブしています。
頚椎症や頸椎ヘルニアの方の中には、この頸椎のカーブが減少したりなくなったりして真っすぐに近づいてしまっている方が少なくありません。
(右が正常な首の状態で、左が首のカーブが減少した状態です。)
単純に上のイラストの2人が同じように牽引療法をおこなうとどうですか?同じように効果が出そうですか?
頚椎症や頸椎ヘルニアの方は首のカーブをつけていくことで、首周辺にかかる負担が軽減し症状が改善に向かうんですが、カーブが無くなっている首を、さらに縦に引っ張ってしまうことによって余計カーブが戻りにくくなりそうじゃないですか?
実際はそんな単純なことではありませんが、やはり真っすぐの首を牽引することは、首周辺には相当負担になるために症状が悪化される方も少なくありません。
まとめ
頚椎症・頸椎ヘルニアと診断され、手術を勧められない場合には、病院や整骨院では「牽引療法で様子をみよう」と言われることが少なくありません。
当然中には牽引によって症状が軽減される方がいるものの、牽引することで症状が悪化してしまう場合には注意が必要です。
と言うのも、上記のように牽引療法は首に負担がかかってしまうために症状が悪化してしまうリスクがあるからです。それもそれほど低確率ではなく。
頸椎ヘルニア・頸椎症と診断された=治療は首の牽引と安易に考えることは避けてくださいね。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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