肩こりで耳の後ろに痛みがでる
最近仕事でデスクワークが多いせいか、肩こりがひどくて辛いと思っていたら耳の後ろにまで痛みを感じることがある…これって肩こりが原因なの?と疑問に思っていませんか?
肩こりがひどくなってくると、息苦しさを感じる人がいたり、目の疲労を感じる人がいたり、肩以外にも症状を訴える人は少なくありませんが、たまに耳の後ろに痛みを感じる人もいらっしゃいます。
とはいってもさすがに耳と肩こりってあんまり関係ないのでは…?それじゃあこの耳の後ろの痛みは何なの?と不安に思う人もいるでしょう。
そこで今回は耳の後ろの痛みと肩こりの関係についてお伝えしていきます。
耳の後ろの痛みは肩こりのせい?
実際に耳の後ろの痛みと肩こりとが関係しているのか?というと、肩こりが原因で耳の後ろに痛みを感じることもあります。
耳と肩こりが関係するの⁉と思われる人もいるかもしれませんが、ここからは耳の後ろの痛みと肩こりの関係についてお伝えしていきます。
●後頭神経痛によるもの
肩こりによって耳の後ろに痛みが出てしまう原因に後頭神経痛によるものがあります。
後頭神経痛というのは字のとおり後頭部をはしる神経に痛みが生じる神経痛のことで、後頭神経は首の後ろの脊柱から出てきて、頭蓋骨全体に枝分かれしていきます。
後頭神経痛には、(1)大後頭神経痛、(2)小後頭神経痛、(3)大耳介神経痛の3種類があるんですが、その中の大後頭神経と小後頭神経は耳の後ろ付近にも神経がはしっていて、これらの神経が神経痛を起こすと耳の後ろにチクチクまたはビリビリとした痛みや、時には電撃的な強い痛みを感じることがあります。
そして大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経の3つは、いずれも頭を支える頚部(首)の筋肉の間から皮膚の表面側に出ているため、肩こりによって首の筋肉が緊張し硬くなってしまうと、その硬くなった筋肉によって神経が圧迫され、後頭神経痛が起こってしまいます。
●胸鎖乳突筋によるもの
他にも肩こりによって耳の後ろに痛みが出てしまうものに、胸鎖乳突筋の緊張があります。
胸鎖乳突筋等のはちょうど耳の後ろ辺りから、首の側面を通り、前方の鎖骨へとつながっていく筋肉です。
肩こりの時にはこの胸鎖乳突筋も緊張し硬くなってしまうことが少なくなく、硬くなった胸鎖乳突筋が耳の後ろのところで痛みを出してしまうことがあるんです。
さらに胸鎖乳突筋のすぐ近くには、副交感神経の一部である迷走神経があるため、胸鎖乳突筋が緊張し硬くなってしまうと副交感神経にまで影響を与えることがあります。
副交感神経の働きが悪くなってしまうと、自律神経のバランスが乱れてしまうため、イライラや不安感などのストレス、不眠、倦怠感などあらゆる不定愁訴(はっきりとした理由がわからない不調)の原因にもなってしまいます。
耳の後ろの痛みを改善するためには?
では肩こりからくる耳の後ろの痛みを改善するためにはどうすればいいのか?
ポイントはやはり胸鎖乳突筋にしても後頭神経痛にしても、肩こりを改善していくことで、そのために筋肉をケアしたり生活習慣を見直すことが必要です。
ここからは肩こりによって起こる耳の後ろの痛みを改善するための方法をお伝えしていきます。
●姿勢を正す
後頭神経痛にしても胸鎖乳突筋の問題にしても、姿勢を正すことがやはり肩こりから起こる耳の後ろの痛みを改善するためには大切になります。
特に猫背などの背中が丸まった姿勢は、頭の位置が本来よりも前に出てしまうことで、頚椎(首の骨)の前弯のカーブが減少し頭を支える首や肩の筋肉にかかる負担が大きくなります。
上記でお伝えしたように、後頭神経痛は頭を支える頚部(首)の筋肉の間から皮膚の表面側に出ているため、姿勢が悪くなって負担が増え硬くなってしまった首や肩の筋肉に圧迫されることで耳の後ろに痛みを出してしまいます。
また胸鎖乳突筋も頭が前に出た姿勢を続けていることで、段々と固まっていくことで痛みを起こしやすくなります。
なので立っているときや座るときなど、しっかりと骨盤を立てて背すじを伸ばして、頭の位置が背骨の上にくるように姿勢を正すことを意識してください。
●目を疲労させすぎない
首の筋肉というのは、目の動きと連動して働いているため、目を酷使して疲労させると、その分首周りの筋肉への負担が増えてしまい、胸鎖乳突筋や後頭神経を通す首の筋肉が硬くなって耳の後ろに痛みを出してしまいます。
とは言っても最近ではデスクワークも増えていて、なかなか目を酷使しないで仕事をするということは難しくなっていますが、合間でやはり休憩を取り入れるようにしたり、しっかり睡眠時間を確保して目を休めることを意識してください。
また仕事の合間や帰宅後に、目の周りを冷やしてくれるシップのようなシートを薬局で購入して使用したり、ハンドタオルを濡らしてラップでくるんでレンジで温め、それを目の上に乗せるなども目の疲労をとるのに効果的です。
●スマホやタブレット端末を使用しすぎない
上記の姿勢や目の疲労とかぶるところがありますが、スマホやタブレット端末の仕様というのは、まさに姿勢が悪くなりがちで目を疲労させてしまう大きな原因です。
スマホやタブレット端末を使用するときには、丸で鶏のように頭が前に出て背中が丸まってしまっている人も少なくないでしょう。当然目だって小さな画面を凝視することで酷使されてしまいます。
まったく使用しないでとは言いませんが、必要ないときでも何気なしに最近ではついスマホやタブレット端末を見ている人も多いとおもいますので、肩こりや耳の後ろに痛みのある人は特に日常生活での使用時間に気を付けてみてください。
●軽い運動で血液を巡らせる
肩こりを改善するためにはやはり適度な運動は、血液を巡らせてくれるので効果的です。
反対に極端に身体を動かす機会が少ないと、筋肉が伸び縮みしないために血液の流れが悪くなり、疲労物質などの老廃物が溜まって「こり」が作られやすくなります。
肩こりの改善のためにはもちろん肩周りの運動もいいですが、ウォーキングなどの有酸素運動で全身を動かすような運動も効果的です。
ただしあまりに激しい運動は筋肉に疲労が溜まってこりが解消せず、神経痛が悪化することもあるため、少しずつ運動の強度を見ながら行っていくようにしてください。
●ストレスをため込みすぎない
肩周りの筋肉で背中から首につながる僧帽筋や、首の前をはしる胸鎖乳突筋は迷走神経との関わりが深いため、ストレスをため込むことによって自律神経が乱れると、その影響を受けやすいと考えられます。
そうでなくてもストレスは交感神経が優位になるため、筋肉が硬くなって血流が悪くなるため疲労物質や老廃物がたまり、筋肉の働きも低下していきます。
そうなれば肩こりが発生して耳の後ろにも痛みが起こりやすくなります。
なので普段の生活から極力ストレスをため込みすぎないように意識してみてください。
はっきり言って今の現代社会でまったくストレスなしに生活できるなんてことは極めて難しいことかもしれませんが、まったくゼロを目指す必要はありませんし、多少ストレスを感じても発散できるものを作ったり、目の前の物事の発想を転換したり、ストレスをコントロールする術を持つことが大切かもしれませんね。
●首周りの筋肉のストレッチ
肩こりを改善して耳の後ろの痛みを改善するためには、ストレッチも有効です。
ストレッチを行う時に気を付けてほしいのが、無理にグイグイと筋肉を伸ばそうとすると、かえって首や肩の筋肉の緊張が増してしまうことがあるので、呼吸を止めないで最初は物足りない位で行うようにしてください。
●片手を背中に回して、反対の手で頭をつかみ、頭を背中に手を回した側とは反対に斜め前に倒してください。
首の部分にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●背すじを伸ばして両手を頭の後ろで組み、両手で頭を前に倒してください。
頭を前に倒す時に背中が丸まらないように気を付けてください。
首にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●上記のストレッチに似ていますが、両手を組んで後頭部のくぼみに当てます。
あごをのど仏に近づけるようにうなずき、両手で頭を斜め上に引き上げてください。その状態で15~20秒キープ。
●片手で鎖骨を押さえ、鎖骨を押さえている側と反対に、頭を斜め後ろに倒してください。
首の前面にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
●片手を軽く肘を曲げてあげて壁に手を当てます。そのまま腕を上げたままで身体を上げた腕とは反対に捻ってください。
胸の辺りにツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
こんな時は病院を受診してください
ここまで肩こりが耳の後ろの痛みの原因となることについてお伝えしてきましたが、まれに肩こりが原因でなく脳出血や椎骨動脈解離などによって痛みが起こることがあります。
これらの疾患は命にもかかわるような問題であるため、後頭神経痛が長引くと、頸部の交感神経が刺激され吐き気やめまい、耳鳴りなどの症状が現れることもありますが、こういった症状がみられる場合には一度病院で検査を受けることをお勧めします。
他にも意識がもうろうとしたり、立っていられなくなったり、手足が麻痺するような感覚があるときにも、すぐに病院を受診するようにしてください。
まとめ
最近なんだか肩こりがひどくなってきただけでなく、耳の後ろにも痛みを感じるようになってきた…と、悩んでいる人もいるでしょう。
耳というと肩こりとは関係がなさそうに思うかもしれませんが、肩こり方起こる後頭神経痛によるものや、胸鎖乳突筋の緊張によって、耳の後ろに痛みが出ることがあります。
もちろん肩こりが原因で耳の後ろに痛みが出ている場合には、肩こりを治してあげることが必要で、そのために普段の日常生活での姿勢や運動習慣、スマホ依存などを見直し、首周りの筋肉のケアを行ってみてください。
ただしまれに脳の問題によって耳の後ろに痛みが出ていることもあるため、吐き気やめまい、意識がもうろうとする、手足に麻痺するような感覚がある、ろれつが回らないなどの症状がみられるときには、病院を受診してくださいね。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
コメントをお書きください