あぐらで座るのは腰痛にどうなのか?
以前からたびたび腰痛を感じることがあるって、家にいるときには床に座って過ごしていることが多く、その時は正座ってなんだか腰に良さそうな気がしないし、腰に負担の少なそうなあぐらで座っているけれど、これで問題ないのかな?と、疑問に思っていませんか?
最近では家のつくりも洋風で和室もなく椅子の生活という人も増えているでしょうが、やはりくつろいだりするときには床に座ったり、和室があって普段はそこで過ごしているなんて人も少なくないでしょう。
そうなると気になるのが床での座り方ではありませんか?特に腰痛持ち人なんかは床から立ち上がろうとする時に、腰に痛みを感じるなんてこともよくあるでしょうから。
実際に当店の腰痛に悩むお客様にも「床に座るときは、あぐらで座っていればいいですか?」という質問をうけることがあります。
そこで今回があぐらって腰痛にどうなの?についてお伝えしていきます。
そもそも座ることは腰痛に良くない
あぐらが腰痛にどうなのか?の前にそもそも知っておいてほしいのが、腰痛持ちの人の中には、腰に痛みがあるから普段は安静に座っていることが多いという人がいらっしゃいますが、実は腰にとっては安静で座っているということはものすごく大きな負担なんです。
えっ⁉座るよりも立っている方が腰に良くないんじゃないの?と思うかもしれませんが、座っている時には真っすぐ立っている時に比べると、40%増の負担が腰にかかると言われています。
さらに安静にして体を動かすことが減ってしまうと、筋肉が本来担っている伸び縮みすることでポンプのように血液を送る働きができなくなってしまうため、血液の巡りも悪くなり新鮮な酸素や栄養が送られず、疲労物質などの老廃物が溜まることで痛みなどの症状を起こしやすくなります。
つまり立って適度に体を動かしている方が、安静に座っているよりも腰にかかる負担は少ないということです。
これは「あぐら」も例外でなく、あぐらが腰にどうこう以前に、座って過ごしていること自体が腰にそれほど良いことではありません。(もちろん四六時中動いているなど、極端に体を酷使すれば腰痛が悪化してしまいますが。)
あぐらは腰に負担が少ない?
上記でお伝えしたように、そもそも座って安静に過ごすことは腰にはあまり良いことではないと言うことを踏まえ、そのうえであぐらという座り方はどうなのか?なんですが、あぐらは腰痛にとって良い座り方とは言えません。
腰に負担が少ない状態というのは、腰椎の本来持つ前弯のカーブが保たれた状態です。
腰の背骨は真っすぐになっているのでなく、前弯の滑らかなカーブを描いています。
この前弯の滑らかなカーブがあるおかげで、上半身の重たさなどを腰だけにかからないよう、吸収・分散してくれるんです。
それがあぐらの場合、どうしても骨盤が後ろに傾き、背中が丸まりやすいため、背骨の前弯のカーブが減少してしまいます。
そのため、腰椎の椎間板にかかる圧は増えてしまい、腰まわり、骨盤まわりの筋肉や靭帯にも負担がかかってしまうため、腰の筋肉が酸欠になって悲鳴を上げて腰痛を出したり、椎間板が潰れてヘルニアになるリスクも高まってしまうんです。
なので、腰痛持ちの人を含め腰痛予防の面からも、あぐらで座ることは極力避けるに越したことがないんです。
実は腰に負担の少ない正座
それじゃあ床に座る時にはどんな座り方がいいのか?というと、実は腰に負担の少ない据わり方が正座なんです。
なんか窮屈そうで腰にも良くなさそうなイメージを持たれている人もいるであろう正座なんですが、正座は骨盤を立てて座りやすいため、腰椎の前弯のカーブが自然と保ちやすく、背すじを伸ばして座れるため腰にかかる負担が少なくてすみます。
また正座は重心も安定するため左右に体重が偏らず、骨盤が左右に傾くことも避けることができます。 このように正座は案外腰にとっては悪い座り方ではないんです。
ただし正座で座っていても、骨盤が後ろに倒れて背中を丸めて座っていると、せっかくの正座の良さが消えてしまい腰に負担がかかりやすくなってしまうので気を付けてください。
椅子に座るとさらに負担を減らしやすい
さらに言えば床に座ること自体、腰にとっては負担が大きいため、椅子に座るほうが腰への負担を減らしやすいです。
先ほどお伝えしたように正座も骨盤を立てて腰椎のカーブを保ちやすい座り方ではあるものの、膝にとっては負担が大きいですし、足がしびれた経験をお持ちの人も多いように続けるのにはそれほど適した座り方ではありません。
痺れるからと足を崩してしまえば、骨盤が左右に傾いたり腰椎の前弯のカーブが崩れたり、またふくらはぎを圧迫し続けるため、ふくらはぎの筋肉が柔軟性を失いやすく、第二の心臓であるふくらはぎが柔軟を失うと結果的に血液の巡りが悪くなって腰痛を起こしやすくなるからです。
もちろん椅子に座っても背中を丸めて座っていると腰に負担が大きくかかるものの、床に座ることに比べると良い姿勢を維持しやすいですし、姿勢を正すためにも床に座ることと比べると関節の柔軟性をそれほど必要とはしません。
なので腰痛に悩んでいる人の場合は、座る時にはできれば椅子を利用することをお勧めします。
ただし最初にお伝えしたように、座ること自体が腰にとっては負担の大きいことなので、長時間座りっぱなしになることは極力避けてくださいね。
あぐらで腰の負担を減らすためには?
とは言っても、生活スタイル(和式の家で畳の部屋で生活しているなど)によっては椅子を使用することが難しかったり、正座は膝が悪くてできない…なんて人もいると思いますので、ここからはあぐらで座るときに極力、腰にかかる負担を減らすためのポイントをお伝えしていきます。
やはり大切なのは、背骨が本来もつS字カーブを描き、腰椎の前弯のカーブを保つことです。そうすることで腰にかかる負担が分散され腰痛を起こしににくくなります。
そのためには正座の時と同様に骨盤を立ててあげることです。背骨の土台となる骨盤が傾いてしまっていたのでは、背すじを正そうにも正せません。
なのでおなかを少しへっこめるように力を入れ、お尻の穴を閉めるようにして、坐骨の部分で座るように意識してください。
ただ、上の写真のように腰椎の前弯のカーブを作ってあげることで、腰にかかる負担は減るものの、体の構造的に足を開いて床に座る状態は骨盤が開きやすい状態で、そんななか姿勢を正すためには必要以上に筋肉を酷使する必要があります。
体がとてもやわらかい人であればともかく、普段からストレッチなどあまりしない関節の硬くなっている人では、あぐらで腰椎の前弯のカーブを保つのにはかなり無理があります。
そうやって骨盤を立てて背骨のS字カーブを保つために酷使された筋肉は、段々と柔軟性をなくして硬く緊張していくため、時間とともに結局腰痛を起こしやすくなってしまいます。
実際にやっていただくとわかると思いますが、体の硬い人であればそもそもあぐらで背すじを伸ばせなかったり、腰椎のカーブを作れてもその時点で股関節や腰に痛みを感じる人もいることでしょう。
そこでおススメは、あぐらで座るときにクッションやバスタオルなどを利用することです。
バスタオルをたたんだモノやクッションを坐骨の下に敷いて、お尻の位置を少し高くしてあげることで、骨盤が起こしやすくなり、自然と腰椎の前弯のカーブが出やすくなるため、腰にかかる負担を減らすことができます。
このようにかなり体が柔らかい人以外は、あぐらで座る時にはクッションやバスタオルなどを利用してみてくださいね。
姿勢以外で気をつけることは?
腰痛を起こしにくくするためのあぐらの座り方についてお伝えしてきましたが、座り方以外に気を付けるべきことは?と言うと、これはあぐらに限ったことでなく、座るという動作の全般に言えることですが、時々体を動かしてあげることです。
座っていると腰が痛くなる原因としては、腰椎のカーブが崩れてしまう以外に、筋肉が緊張し血液の巡りが悪くなって疲労物質が溜まってしまうことです。
なので定期的に筋肉を動かしてあげて、筋肉の緊張を予防し血液の巡りを滞らせないようにすることで、腰痛を起こすリスクを抑えることができます。
あぐらから体勢を変えて、軽い体操やストレッチを行うのもいいですが、できればそれこそ一度立ち上がって少し歩いたりして全身を動かしてあげるとさらに効果的です。
あぐらで座る前にストレッチをしておくこともおススメ
上記でお伝えしたように、極力あぐらを含め床に座らないようにすることが腰痛予防で大切ですが、飲み会などで座敷に長時間座る場合など、あぐらを長時間することがわかっている場合にはあらかじめストレッチを行っておくことも、腰痛予防のための一つの方法です。
もちろん普段からストレッチや体操を習慣化して筋肉や関節の柔軟性を保っておくことがなにより大切なんですが、なかなか今はそれほど体が柔らかくない人でも、何もしないでいるよりも少しストレッチなどを行って座るほうが多少腰痛予防に役立つと考えられます。
ストレッチももちろん時間をかけてじっくり行う方がいいですが、あぐらで座る直前にそれほど時間はかけられないでしょうから、ここでは特に行っておいてほしいモノだけをいくつか紹介します。
●背中のストレッチ
背骨のカーブを保つために背中の筋肉の働きは欠かせません。言い換えるとこの筋肉が硬くなってしまっていると、背すじを伸ばしていられないため、背骨のカーブが崩れて腰痛を起こしやすくなってしまいます。
●背すじを伸ばして両手をバンザイし、片手で反対の手首をつかみます。
手首をつかんだ手の方に体を少し傾け、脇の下から背中を伸ばすように手首をつかんだ手で腕を引っ張てください。
そのまま15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
体を横に倒すときに背中が丸まってしまったりしないよう注意してください。
●太もも裏の筋肉のストレッチ
太もも裏の筋肉は骨盤までつながっているため、この筋肉が硬くなってしまっていると、骨盤を引っ張て後ろに傾け背中が丸まりやすくなって、腰痛を起こしやすくなります。
●しゃがんで太ももとお腹を付けて、手で足首をつかみます。
お腹と太ももをつけたままお尻を上げていき、太もも後面にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。
お尻を上げていくときに、くれぐれも太ももとお腹が離れてしまわないよう注意してください。
●大腰筋のストレッチ
床にあぐらで座る時には、どうしても骨盤が後方に傾きやすいため、その状態で骨盤を起こして背骨のカーブを作るためには大腰筋と呼ばれる、腰からお腹を通って足の付け根につく筋肉の力が必要です。
そのため、その大腰筋が硬くなり働きが低下してしまっていると、良い姿勢を保つことができずすぐに腰痛を起こしやすくなります。
●両足を前後に開いて立ち、後ろの足の膝を床につけ前後の膝を90度前後に曲げます。後ろ足の太もも裏に同じ側の手を当てます。
太もも裏に当てた手で体を押すようにお尻を前に突き出し、股関節の付け根にツッパリを感じたところで15~20秒キープ。左右交互に行ってください。
まとめ
腰痛持ちの人の中には、自宅などにいる時にはどんな体勢でいればいいのかな?と疑問に思っている人もいるでしょう。
そんな中で選ばれやすいモノの一つがあぐらだと思います。
ですがあぐらというのは、どうしても骨盤が後ろに傾いて腰椎の前弯のカーブが減少しやすいため、腰には負担の大きい座り方です。
もし床に座るのであれば、負担が大きいと思われている人も少なくないであろう正座の方が、腰にかかる負担は少なくてすみます。
そしてできれば床に座るよりも、座るのであれば椅子を利用するほうが腰への負担は少ないため、腰痛持ちの人は極力、椅子の生活をお勧めします。
ただし、座るというのは真っすぐ立っている時に比べ、腰には40%増の負担がかかると言われており、さらに安静にすることで筋肉の動きが減って血液の巡りが悪くなるため腰痛を起こしやすいんです。
なので腰痛がある人は、座って安静にするのでなく、普段から適度に体を動かし座っている時間を減らすように心がけてみてください。
場合によってはあぐらで過ごさないといけない時もあると思いますので、そんな時にはクッションやバスタオル、座布団などをお尻の下に敷いて腰椎の前弯のカーブを潰れないように座ったり、ストレッチで筋肉の緊張をやわらげてから座るのがおススメです。
記事提供者プロフィール
かんばし まさとし
奈良県御所市からすぐ神橋筋整体院の院長
お客さんの8割以上が腰痛・首痛で病院や整骨院など、どこに行っても治らなかったという悩みを持ち来店される。
その多くの方が痛いところだけ揉んだり電気を当てたりといったその場だけの治療ではなく、姿勢や痛みの原因となる根本から整えていく独自の施術法で改善し支持を得ている。
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